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今日も上海日和。

森麻衣佳のAll About公式ブログ。上海で起きていること、日々のこと。

「私たちは波瀾な運命を望んできた」  104歳で亡くなった「先生」の言葉が深い

 

楊絳(ヤン・ジャン)さんという中国の有名な女性作家が一昨日、5月25日に亡くなりました。

とても話題になっているので、調べてみました。

 

1911年7月生まれなので104歳。

ただし、ご本人は年齢を数えで通していたそうで、105歳と報道しているメディアもありました。

作家、外国文学者、翻訳家として大変な功績を残した方です。

1935年にイギリスとフランスに留学し、語学を習得。

さらに後にスペイン語も勉強し、『ドン・キホーテ』を中国で初めて翻訳しました。

楊さんによる『ドン・キホーテ』は今でも外国文学の名訳とされ、70万冊以上発行され続けているそうです。

文革期の体験を綴った『幹校六記』や小説『洗澡(風呂)』など、日本語に訳されている本も何冊かあります。

夫も中国の著名な文学者でした。

 

昨日、一昨日のWechatは彼女が残した数々の名言で一色となりました。

なかでも最もシェアされたのは、100歳のときに書いたというこの文章の写真。

 

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 (写真はWechatより)

 

高齢の方が書いたと思えない、力にみなぎった筆致に驚きます。

こう書いてあります。

 

我們曾如此渇望命運的波瀾

到最後才発現

人生最曼妙的風景

竟是内心的淡定与從容

我們曾如此期盼外界的認可

到最後才知道

世界是自己的

与他人毫無関係!

 

この文章の英訳版を、英語教師をしている中国の友人が紹介してくれました。

 

We used to show great eagerness for ups and downs in life but end up realizing the very beauty of life is calmness and ease.

We used to show great eagerness for external recognition but end up knowing that your life is in the hand of you, none of other’s concern.

 

日本語に訳してみました。

 

私たちは波瀾な運命というものをひどく望んできた。

でも、最後にようやく気がついた。

人生における最も麗しい光景とは心の静けさと安らぎだということを。

私たちは世の中に認められたいとひどく願ってきた。

でも、最後になってようやくわかった。

私の人生を生きるのは私、他人は少しも関係ないということを!

 

 

楊絳さんは「楊絳先生」と呼ばれていました。

訃報を伝えるニュースの中でも多くのメディアが「楊絳先生」と書いています。

これは実は不思議なこと。

なぜなら、現在の中国語では「先生」は男の人を呼ぶときの「さん」の意味を表すからです。女性を呼ぶときは「女士」などをつけ、「先生」は使いません(先生は「老師」と表します)。

ただ、昔の中国では「先生」という言葉が、日本語と同じ意味で使われていたそうです。

 

 90歳を過ぎても気力が衰えず、92歳のときに家族との思い出を綴った作品『我们仨』はベストセラー。100歳になってからは毎晩寝る前に古い本を翻訳する習慣をつけていたとか。102歳のときに全集を出しています。

 

これも100歳のときの言葉です。

 

你的問題主要在于読書不多而想得太多。

 (あなたの問題の多くは読書が足らずに、あれこれ考えすぎることにある。)

 

 

彼女がなぜ「先生」と呼ばれたのかわかる気がします。

 

「楊先生が亡くなったら、もう『先生』と呼ぶべき女性がいない」というネット上のコメントが心に残りました。

 

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