戦略的!? 中国のスターバックスカードとアプリ
5年前に上海で語学留学をしたときは、スターバックスにはどちらかというと外国人が多い印象でした。しかし、いつの間にかお客さんの圧倒的多数は中国人。店舗数が世界2位までに増え、内陸部への進出も進んでいます。
上海・江南のわざわざ訪れたい6店を紹介したAll Aboutの記事はこちら。↓
日本円で考えるとドリンク一杯500円前後、サンドウィッチやスイーツなどちょっとしたフードを頼めば1000円近くかかりますが、今の上海では「特に高いわけではない一般的なカフェの値段」として浸透。ここ数年で中国の中間所得層が一気に厚みを増したことがわかります。
ただ、あらゆる国からコーヒーチェーンが進出している上海で、人気を継続していくのは至難の業。最初は勢いがあったお店も、多くが2年くらいで静かになってしまいます。
その点、1999年に中国に1号店をオープンさせたスタバは絶えず戦略を練っているように思います。
中国向けの戦略のうち、スターバックスカードと会員用アプリがなかなか面白いので、このブログで紹介したいと思います(旅行者は使う機会が少ないため、All Aboutの記事のほうには載せていません)。
リピーターにならないと元がとれないスターバックスカード
中国のスターバックスカードは「星享卡(Starbucks Rewards)」と呼ばれています。チャージをして使うプリペイドカードではなく、特典付きのポイント制会員カードです。値段は88元。
スタバでお会計をするとカードを買わないかとすすめられます。お金を払って特典を買うようなものなので最初は断っていましたが、ものは試しで昨年買ってみたら、これがなかなかユニーク。
ちなみに、デザイン違いや+αの特典がついたもう少し高いカードもあります。ギフト用のプリペイドカードは別に販売されています。
カードが使えるようになるのはオンライン登録をしてから。
50元(約1000円)ごとに星が一つつき、星を5個集めるとグリーン、25個でゴールドとランクが上がっていきます。特典は以下のような内容です。
カードを購入した時点のウェルカムレベル
- 一杯買ったら好きなドリンクをもう一杯もらえる特典が3回分
- 午前11時までに使えるドリンク一杯無料券
- 無料でサイズアップ1回分
グリーンレベル
- ドリンクを一度に3杯買ったらもう一杯もらえる(←個人的にはめったに使う機会なし)
- 誕生月にドリンク一杯無料券
ゴールドレベル
- グリーンレベルの特典継続
- 会員登録をした一周年の月にドリンク一杯無料券
- ドリンクを累計10杯買うごとに一杯無料券がもらえる
ドリンクは30元前後のものが多数。
おわかりのように利用しないと88元の元がとれないので、カードを買ったらついリピーターになってしまうという仕組みです。なかでも「一杯買ったら好きなドリンクをもう一杯もらえる」のは、誘ったほうがおごる習慣のある中国人をよくわかっている特典だと思います。グリーンレベルになれるハードルが低いこともポイント。
投資したからには元を取り返したい、会員のステータスを得たいという心理(中国人に限らずですが)をうまくついています。
また、特典が一番豊富なのは実はカードを購入した時点。なので、グリーンやゴールド会員となった後に新規でカードを購入する人もいます。
ゴールド会員になるとカスタマイズされたカードが登録住所に送られてきます。
カード代わりになる会員用の公式アプリ
会員用のスタバの公式アプリもよくできています。カードホルダーになったらダウンロードします。
ポイント数や特典の残りの確認はもちろん、過去に注文した内容や値段、日時も記録されます(注文や利用店などの傾向がすべてスタバ側に把握されてしまうわけですね)。GPS機能でどこにいても近くのスタバを営業時間込みで探すこともできます。
注目は最近のアップデートでアプリ内に自身のデータが記録されたQRコードがついたこと。これをレジで見せればカード代わりになります。ポイントカードを何枚も持ち歩いたりせず、なんでもスマホ一つで済む中国ではこの機能は結構大事なのかもしれません。
また、アプリを通して新メニューなどのお知らせが来るほか、カード特典とは別に商品の割引券や期間限定のドリンク無料券が突然プレゼントされることも見逃せません(本当に不定期です)。
中国で展開する勢いのある企業は、どこもアプリとWechatでのメディア戦略が上手です。
カードが複数枚あってもアプリで管理できます。
日本ではドトール派の私ですが、中国ではスタバをよく利用します。味や値段というより(上海ではどこのコーヒーチェーンも値段はほとんど一緒!)、使い勝手がよく、なんとなく安心感があるから。Wi-Fiも一度パスワードをデバイスに入力すれば、次からはどのお店に行ってもすぐにつながってラク。
でも、カードを持ってからリピート率が高くなったのは確かで、私も気がついたらスタバのグローバル戦略にまんまとはまっています。
ドトールが上海に来るまでは、まだまだスタバに行き続けそうです。