風呂敷からブルータスまで、リアルな日本が注目されている
先月、上海と北京で開催された「和風の旅」をテーマにしたイベントに参加してきました。主催者は雑誌「行楽」と東急さん。女性の読者を対象に、着物のショーのほか、東急さんと日本の自治体によるプレゼン、そして風呂敷の体験レッスンが行われました。以前、行楽の風呂敷特集で編集とスタイリングを行った私が風呂敷部分のレクチャーを担当。
中国での風呂敷とのかかわりについては、こちらで紹介しています。
来場者数は両会場であわせて200人以上という盛況ぶり(応募者は数倍だったとか)。
参加者には京都の有名な風呂敷メーカーによるブランド「むす美」さんの両面風呂敷をプレゼントし、実際に箱を包む体験をしてもらいました。
みんな熱心で上手。行楽のスタッフのサポートのおかげで、とても盛り上がりました。
イベントでは東急さんによるクイズも行われたのですが、挙手率がハンパなく高い! 「ハチ公」とか当たり前に知っているんですね。
こういう場にいると、日中関係のことなど口に出すのも野暮な感じがします。
みんなごく普通に日本のことを知りたいという気持ちで楽しんでいるように見えました。
日本の文化への関心の高さについては、上海の衡山坊に先月オープンした衡山・和集のブックストアを訪れたときも実感しました。
衡山坊についてのAll Aboutの記事はこちら。
この書店では日本の雑誌が本当にたくさん売られています。カルチャー誌にファッション誌、デザイン誌、シネマ誌、週刊誌もありました。小説やエッセイ、実用書の翻訳本も揃っています。
デジタルメディアが浸透している中国では、紙の媒体を売るのは日本に比べてはるかに難しい状況です。値段も日本での定価の数倍。それなのに、これだけ多くの日本の雑誌を扱っているのです。
私の友人の中にも、日本語はできないのですが、漢字で想像がつくため、日本の雑誌をよく購読しているという人がいます。彼らや彼女たちと話していると、「ブルータス」「カーサ ブルータス」「婦人画報」など、最新号の内容まで知っていることも。
とりわけ日本のアーティスト、職人、デザイナー、建築家、文学、工芸、ファッション、食文化などについて若い世代が興味を持っていて、同世代の日本人よりもよく知っているのではないかと思うときがあります。
日本への旅行者が多く、紙とデジタルメディアも自在に国境を越える今、正直、日本で流行っていることはかなり筒抜けです。みんなリアルな日本に関心があり、知ろうとしています。
上海にいると、日本の媒体の読者の中に中国人のインテリ層がいること、その人数が以前とは比べ物にならないほど増えているという現実をひしひしと感じます。中国の発展は街並みや経済の変化だけではないのです。
文化に対する関心の高さの差、情報量の圧倒的な差。5年後、10年後、この差がいったいどういう形になって現れてくるだろう。時々、少し心配にもなります。